茅スタジオからのご案内

一日写真館
〜オールドスタイル〜

ふつうの日々の中にある、いまを撮る。

茅スタジオが、一日限りのオールドスタイル写真館になります。

「古緞通」を使っていた時代にタイムスリップし、大事な1枚を撮影しませんか。

かつて人々のハレの日に用いられてきた絨毯、赤穂緞通。

「あたらしくないものへのエセー展」で紹介する古緞通は、特別な日を飾る絨毯として記念写真の中でも多く用いられてきました。

また、当時はフィルムが貴重だった時代、枚数を多く撮ることができず、それゆえにできてきた写真の「型」がありました。

今回の「一日写真館〜オールドスタイル〜」では、いまではほとんど見られない型を大切に、足元に緞通をひき、ポージングや配置、向きなどを整え、時間をかけてきっちりと丁寧に撮っていきます。

古緞通を用いた非日常な時間をぜひ体験しに来てください。

日時

5月13日(土)、14日(日)

撮影時間は30分〜1時間程度を予定しています。

内容

料金: 16,000円 (税込) / 1組

カラー写真・白黒写真(白バックのみ)
撮影した全カットをデータ納品いたします。

●撮影時間は30分〜1時間程度です。婚礼などでも用いられてきた100年前の古緞通をひきます。写真の型を踏襲しながら撮影するため、セッティング(型)をきちんとし、1枚1枚時間をかけて撮影します。枚数は従来の撮影よりもぐっと少なめになります。

●中判フィルム撮影に変更することも可能です。12枚撮り切り。+26,000円(税込、現像、プリント代込み)にて承ります。ご希望の方は予約時に中判フィルム撮影希望とお書きください。フィルム撮影時も、デジタルでの撮影もあわせて行います。

●おうちにあるフィルムカメラ(35mm等)を用いて撮影することも可能です。ご希望の方はご相談ください。

●ブーケ・ブートニアをご紹介することができます。ご希望の方はお問い合わせください。

●お着物での撮影ご希望の方は、一日写真館ではあらかじめお着物を着てきていただける場合のみ承ることができます。スタジオでの着付け等をご希望の方はこちらの撮影プランをご検討ください

+ 6,600円(税込)にて、2Lサイズ1枚額装いたします(プリント、マット代込)。送料別・着払にてお送りいたします。

*当日はお洋服、小道具など、一緒に写りたいものをご持参ください。(液体、火器類、音の大きなものはご遠慮ください。)

*お着替えスペースございます。スタジオ到着後に撮影用の服に着替えることができます(スチームアイロン有り)。

*完全入替制とさせていただきます。

*スタジオ内は常時、頻繁な換気を行います。

*当日は撮影予定時間の10分前までにスタジオにお越しくださいますようお願いいたします。

*その他、ご質問がございましたらこちらからお気軽にお問い合わせください。

予約方法

下記メールアドレスまで、必要事項をご記入のうえお申し込みください。

ご記入いただきたい項目:
・お名前
・ご住所
・ご希望日と時間帯
・ご参加予定人数
・今回の撮影で大事にしたいこと(記念撮影/結婚記念/家族写真/アー写など)
・ご連絡先(電話番号)
・駐車場のご利用希望の方はその旨ご記入ください*。

*スタジオの駐車場は2台ございます。満車の際は近隣の駐車場をご利用いただきますようお願いいたします。

場所

茅スタジオ
住所: 東京都西東京市西原町5丁目3−28 パルシオ西原1-101
駐車場あり(要予約)

アクセス方法はこちら。

古緞通と共にあった写真

かつて人々のハレの日に用いられた絨毯、赤穂緞通。今回、茅スタジオの一日写真館が古緞通を使っていた時代にタイムスリップします。

手仕事を積み重ねてつくられた古緞通をひき、かつての型を大切に撮影する「一日写真館〜オールドスタイル〜」。

「あたらしくないものへのエセー展」で紹介する古緞通は、特別な日を飾る絨毯として記念写真にも多く用いられてきました。

100年以上前に織られた古緞通が、洗いや補修を重ねることで魅力を取りもどし、現代に甦ります。

一方、その頃はフィルムが貴重だった時代、枚数を多く撮ることができず、それゆえ徐々に写真の「型」が生まれてきます。

「型」は、それぞれの精一杯の丁寧をもちより、つくられてきた形だったのかもしれません。たとえば、自分が持っている中でいちばん良いと思う服にアイロンをあて靴を磨いてておくこと、写真家はひとりひとりの美を見出すために場を整え準備を積み重ねていくこと。

写真家は一枚一枚を大切に撮り、撮られる側はできるだけの準備をしながらそこに向かう。互いに精一杯の丁寧さをもちよる、その気持ちが型としてはまった時、すばらしい一枚が撮れるのかもしれません。

その精神は、一枚に魂を込めるように織られ、修復されてきた赤穂緞通にも通じます。

「“たくさん” よりも “丁寧さをもちよっていく” ことが今回の重要な意味だと思っています。」(写真家 中村紋子)

写真家

写真家/美術家
写真と絵をメインに作品制作をしている。著書に、主な写真集は"Silence” (リブロアルテ/2011)、”潮目”(ポット出版/2014)他。 イラストレーションシリーズ「USALYMAN」等。2011年〜2017年は主にディレクションなどを手掛け、仙台多夢多夢舎中山工房と「タムタムとめぐるトワル」ではアーツ千代田3331をはじめとする各所の展示運営に関わる。近年の主な展示は2018個展「光/Daylight」(B gallery / BEAMS JAPAN)。その傍ら、一般の方に向けて家族写真や個人写真を撮り続けている。

中村紋子のことば

「型物(かたもの)写真*について」

20代ごろまではあまり魅力的に感じられなかった「型物写真」。今っぽく自然に撮ればいいじゃん!などと思っていました。でも30歳を過ぎた頃からなんだか魅力的に見えてきたのです。なぜかというと、ほとんど流行の影響を受けないから。いつ見ても普遍な何かがそこにあることに気がつきました。

わたしには毎年撮影させていただいているご夫婦がいます。人生の大先輩で、撮影はいつも12枚程です(注:現代、通常の撮影はデジタル化の影響で非常に枚数は多めになっています。12枚というのはフィルムの時代の撮り方です)。きちんとライティングをし、「撮影いたします」とお声がけをしてから撮影します。彼らは歯を見せて笑うことをしません。背筋をのばし、膝の上にそっと手をおき、口角をあげ微笑みを浮かべます。

そんな彼らから自然な笑顔を引き出そうと頑張った時期もあったのですが、それはお二人にとって「違う」ことなのだとある時気づきました。お二人にとって写真は「自然」を撮ることではなく「礼節の象徴」なのではないかと思ったのです。礼節は人と接する上での距離感の表れでもあると思います。「自己表現」とは少し違う、その人なりに他者に礼儀を尽くした、その人のできる「うつくしさ」の形です。人生の節目に写真を撮ってきた世代の方にとって、写真はそういった儀式性の高いものなのだと感じます。

昭和は、とてもむずかしい時代でした。わたし達の少し上の世代までは「私」のためではなく「公」のために人生を捧げなければいけない時代がありました。「型」はその中で急速に発展したことは忘れてはいけません。型は「わたくし」をおおう繭(まゆ)でもありました。やがて日本は平和になり、わたしたちは昔よりも自由に生きることを許されています。写真は今や身近で誰もができる自己表現ツールとなり、つよい自我を放出するようになりました。現代はともすると強い感情を優先させる世界に流されている、とも言えます。

そんな現代に生きるわたしが、撮影者として取り組みたいと感じている「型」とは何でしょうか。

型は、高尚なことをしたり、高いものを身につけたり、ギチギチなポージングをすることを指してはいません。ただただその時にできる美しさに向かい、自分にできる範囲で誠実に所作を作り重ねていくことではないかと思っています。「社会」と「私(わたくし)」との間で礼節の取れるぎりぎりの距離感を探すこと。お茶の型やお花の型というものがありますが、日本には「型」の文化があり、わたしは型から滲み出てくるものが好きです。

今回は沢山撮ることを目指すのではなく、丁寧に、カメラを通して皆さんに心静かにまっすぐ向かいたいと思っています。ご希望の方には中判フィルムでの撮影もできますので、緊張感を持った撮影も体験できます。

少し変わった趣旨かと思いますが、皆さんと一緒によい撮影に向かえたら嬉しいです。そしてわたし達のちょっとしたそわそわ感や緊張感も、足もとの古緞通がどっしりと優しくまとめあげてくれる気がしています。

*今回の一日写真館で撮影するスタイルは専門用語で「型物写真」と言います。


瀬戸内海沿いにある赤穂生まれの絨毯、「赤穂緞通(あこうだんつう)」を知っていますか?

江戸末期から明治にかけて完成されたその緞通は、ウール(毛)でもシルク(絹)でもなく、日本で手に入るコットン(綿)が素材。色は主に藍染をはじめとする植物染料で染め、手機おり。現代では考えられないような手間がかかっています。

今回の「一日写真館〜オールドスタイル〜」は、100年以上前に手機で織られた赤穂緞通をひいて撮影する特別な企画です。

そして、一日写真館に先駆けて、当時使われていた古緞通からとりわけ修復が難しいものをピックアップし、染色や縫製によるアップサイクルを試みる展示「あたらしくないものへのエセー展」を行います。

監修は赤穂緞通の織り手であり、古緞通の修復も手がける、阪上梨恵さん。あたらしくないものの中に宿る強いパワーを感じにいらしてください。

All photos ©︎Ayaco Nakamura
一日写真館での撮影は全てスタジオ撮影となります。

One-day shooting — old style
Supervising: Rie Sakagami (Akodantsu Mutsuki)
Photographer: Ayaco Nakamura
Planning: Yuka Chabata